OPEN CLASS
公開講座
プロジェクトで実施される精鋭講師陣による
事前授業・講座の一部を特別公開しています

Jun 22, 2008 19:45 - 21:15

「オトナの政治経済」第10回目

開催日時 2008年6月22日(Sun)19:45 - 21:15
料金 社会人/1,000円 学生/500円 + 「別途コピー代」

募集は締め切りとなりました。

DETAIL
遅れてしまいましたが、「オトナの政治経済」第10回目の講義録です。
20時10分~21時20分という時間だったので、予想通り配布したプリントは終わらなかったです。(分かってやっているのでご心配なく)

昨日から、HP上で講義録の第1回目からアップされました。
実はこれ以外にも、総集編の②、③があります。が、2か月くらい前のことなのでもう講義録は書きません。

総集編とは、初参加者や初学者用に設けた番外編です。ここ最近は新たな人も増えていますので、近く総集編をまた行うことになると思います。ご期待下さい。

ところで、講義録を見てて思うのは“うわぁ~、平気で3時間なんて長い時間をちょっと前までは講義あったよな・・”ということ。

ここ最近はもっぱら90分未満なので約倍の時間を使って時事講座を開いていたのかと思うと、何だか”よくやってたな&よく付き合ってくれてたな・・”という感じがしています。

参加してくれていた人は、よくよく復習してくれることを望みます。
そうでなければ、参加している意味がなくなりますので。

そして自分で、気になったニュースやテーマを追求してください。
授業を受けて、納得したような気になっているのは意味がないので。

それと、前回結局言えなかったのですが、日本の教育格差のニュースを取り扱い同時に、”なぜ僕がVERY50を運営しているのか”お伝えしたかったです。
次回にニュースの内容とともにお伝えしようと思っています。


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<簡易講義録>


【世界人口の約半数の33億台に携帯契約台数が突破】
  
★携帯電話の業界事情から分かるいくつかのこと

①.日本は・・ ドコモ:5300万台、AU3000万台、ソフトバンク1800万台程度の契約者数。
   つまり、獲得者数を世界全体の数で考えるとまだまだ、日本の携帯会社の契約者数は少なく、世界全体を見てみるととてつもない市場がある。

・しかし、日本の携帯電話業界はグローバル化が完全に遅れており今後は各3社のそれぞれの強みを生かしながら世界展開を図る必要がある。

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  (各日系携帯電話会社の特徴)

    ドコモ→エリアが広い、お財布携帯の技術などのmobile paypal技術
     AU→エリアも広く端末、着うたなどの付随サービスが良い
 ソフトバンク→エリアは狭いが値段は安い
 
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これら3社が海外展開をはかるときに、必要な考え方はそれぞれの自社の強み(特徴)にあった地域に売り込みをかけること。例えば、エリアが狭かったら、人口密度の高いエリアに集中して戦略をかけた方が良いということになる。

配布した図表の都市人口ランキングを参照ください。

都市人口により、自社の強みを見ながらどういう人口・対象年齢・文化・範囲に強みを持っているのかを考えるとよいと思います。

例えば、AUは“着うた“です。アジアの若者に向けてシェアを取ろうと思った時にもしかしたら、“韓流”により韓国文化が人気になっている中で、それに特化した情報を無料で流すなどAUにしかできないことがあるはずです。

ドコモがバングラディッシュに進出をかけているようですが、これは遅いと思います。
すでに長い間、KUやボーダフォン、temexなどが10年前には進出して基盤を築き上げてきたわけです。今後のドコモがどのような戦略でバングラから落としていくのかは見ものです。が、バングラの政治状況はいつも選挙のたびに死者が出るくらいの激しい応戦を繰り広げ戒厳令がでるのも珍しくないような国です。
親会社のNTTに70%の収益を吸い取られて、これまでは大胆な戦略に立てなかったドコモがこのバングラをどのように調理していくのでしょうか。

・他にも、e-mobileの戦略も注目です。狭いエリアでその効力を発揮する都市部においては大変便利なアイテムですが、まだ利益は出ていないと思います。
大手3社の牙城が崩せなかった時には、人口密度の高い都市に国際展開をかけると思います。

②.昨年度の携帯電話の普及増加率のグラフから、やはりアジア・アフリカ地域の上昇率が激しい。その中でも・・

中国:4億人を携帯人口が超える(9.2億人はまだ中国市場には残っている。)
インド:3億人(残り8.3億人・・)
中央アジア、バングラ、パキスタンなどがあげられる。ざっと20億人強がアジア諸国だけで見込めるという計算になるわけです。やはり、日本国内のドコモ5千万人、AU3千万人、SB1.8千万人というのは規模感としては、どうにも小さい話ということが見えてきます。

しかし広大な大地をカバーできる携帯電話会社というのは実は限られています。
それは電波塔を建てるのに1基が数億円規模でかかるために初期投資が半端ではありません。面倒くさいですが、今年の有価証券報告書にて世界の携帯会社の投資を見てみてください。外部費用が多く出費されているところをよく見てください。今後の勝負が少しだけ見えてきます。

③.携帯電話の今後の可能性を予測する。

 ・最初に、携帯電話というものをそもそも“なんなのか”を考えてみると、電話で話せるということ以外に人数(パイ)が他業種では見られないくらいに多い顧客を抱えていることが分かります。

これと同じ特徴を持っているところはどこかというと・・
クレジットカード、銀行、少し弱いけどTSUTAYAなんかがそうですね。
ドコモはすでにお財布携帯の先駆けでクレジット利益を段階的に得ようとしていますが、その進め方が異常に遅いです。今後は、1億人を突破するくらいの顧客が登録していないといけません。

そこで出てくるのが、「広告モデル」ということです。
テレビ業界の広告モデル。ネット広告モデル以外に携帯電話の広告モデルがあります。常に画面上で開く度にドコモから送信されてきている広告画面を許容する代わりに、通話料を無料にするなどの転換が予測されます。

これを②で言っていたような顧客の数が2億人くらいいる場合はこのモデルは可能だと思います。かつてのCity Bankが2億人の顧客を突破した段階で手数料の無料化に踏み切った経緯があります。初期投資の償却が済んだ段階で可能だとは思います。

④携帯電話業界の利益構造の考え方

 ③でも述べているようにとにかく、異常なほどに顧客が多い。
国内3社での電話料金合戦になってきているが、パイが多い分だけ例えば100円を値下げするとする。そうすると、ドコモが月に100円を値下げすると・・

 100円×5200万人=52億円  52億円*12か月=604億円/年

単純に年間604億円の収益減になるということだ。だから、携帯電話会社の値引きというのは実は一番難しい。100円程度の値引きだと、正直色々なオプションをつけて色々と細かく料金を取られてい消費者にしてみると、インパクトは余りなくそれほどの効果はないと思います。だから、ホワイトプランのようにやる時はガクッと1000円近くを値引きしないと、消費者は気づきにくく、中途半端な値引きはあまり意味がありません。
ここが携帯電話市場の恐ろしいところでもある。

④携帯電話端末各会社の動き

・ノキア、モトローラ、サムソン、ソニーエリクソンの4つの会社で世界の75%を占めています。三菱電機が携帯電話端末事業から撤退、ソニーがドコモ向けの生産から撤退をしました。この背景にあるのは、世界の潮流からすると日本国内の携帯電話端末の会社なんて言うのは目ではないということです。
ソニーは、欧州の携帯電話市場をエリクソンとのコンビで獲得しているためにドコモみたいに5千万人足らずのところ向けに一々、「生産していられない!」という経営判断があったとみるべきでしょう。

今後は、シャープ・京セラがどのように出るのかがキーです。

両社とも非常に頑丈で細かい機能を付いた(GPSなど)電話機生産が得意なので、中国などの安価で低機能でも良い市場には向いていません。
また、同時に日本国内では強いけれどもGlobal化をしている企業とは言い難いのが実情です。

今後はサムソン辺りがシャープ・京セラの携帯電話部門を買い取る可能性があると思います。
こうして、携帯電話市場から日系企業は脱退という形をとっていくかもしれません。


【米国経済と米国選挙の行方】

・米国の失業率が5.5%を超える。今後の米国のテーマは雇用創出ということになる。
前回からサブプライムの影響は何度も言っているのでここでは述べません。

現状は各金融機関が自分の“不良債権(焦げ付いた債権)”の処理をしていく間で体力をつけるために、他人に貸す余裕などなく貸し渋りが既に起きています。(菅谷個人的に現在米国での金融業展開につきこの影響を諸に受けている訳ですが)

で、この処理をしている間に不良を埋めるためにキャッシュフローを使いその穴を埋めるので、財務諸表的には当然見た目は業績悪化ということになり、これに乗じて株価も下がり株式市場からの退場を余儀なくされる。
また金融機関がお金を中小企業に貸さないので、中小企業としては資金繰りの為に雇用者をクビにするという悪いサイクルをたどるわけです。

このサイクルの背景が一因として、今回の高い失業率を招いています。

・結局、ブッシュが就任した当時(2001年1月)は約4%の失業率でした。7年以上経ち結果5.5%という悲しい結果になっているブッシュ大統領です。

・オバマは民主党らしく、分かり易くいえば「貧乏人やminorityに優しく、超資本主義経済は好きではない。」人です。また外交においても「ベネズエラや北朝鮮、イランなんかとは対話主義」です。イラクからの早期撤退も公約の中に入れており、今後は「世界に愛される米国」を作っていくわけです。が、皮肉なことに高い失業率の受け皿になっていたのは他ならぬ軍隊への徴兵であり、これがイラク派兵につながっているわけです。

「失業率が高いのであれば→徴兵」という図式を自らの外交政策において壊そうとしているのですから、オバマは抜本的な雇用創出を考えなくてはいけないと思います。

・マケインはベトナム戦争の英雄で、経済界はオバマにすると資本主義から逆行するので、マケインを候補に持ち上げたい意向が実は強い。
しかし、マスコミ各社の論調ではオバマ陣営についていることや、ブッシュの酷さから堂々と共和党のマケインを応援することができないという事情も見えてきます。

・米国は中国の最大のお客様であり、米国が買ってくれる製品はそもそもで日本・韓国・台湾と連携して生産している。そのために、米国選挙を日本国民はしっかりと注視していかなくてはいけないということです。僕らの生活にも関わってくる内容です。

【日本経済のサブプライムの影響】

・欧米銀行が比較的傷の浅かった日系銀行に協力を求めています。個人的には結局、日本国剤の銀行で欧米を席巻できる人材がこれまで育っていない為に、いいように利用されてしまう可能性が大だと思います。

・日本の銀行は、中小企業に対して、担保検察・考察・審査を行わずに貸し渋りを繰り返している経緯があります。どの国でも、新しい産業が起きない国は衰退していきます。
ベンチャーへの銀行融資は非常に厳しく、エンジェル税制などの政策もとられていますが、審査は非常に厳しすぎてうまくいっていません。
日本のベンチャーへの融資が昨年度で30億円程度。それに対して欧米では2000億円です。
各金融機関の姿勢が顕著に表れていると同時に、日本政府の景気政策の特徴が出ています。約100倍も違うということを皆さんはどう感じますか?
とはいえど、日本の技術力というのは世界トップクラスであるので、今後は「日本金融機関の皆さんが融資しないのであれば、僕が投資しましょう!」と名乗り出てくる可能性があるのは「中東マネー」です。
中東マネーが日本の有望なベンチャーを青田刈をする可能性があります。

【アイルランドから見る欧州情勢】
アイルランドがリスボン条約に批准せず。これはなぜでしょうか!?、という質問を皆に投げかけたままです。次回までに考えてください。


以上

ENTRY

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