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Aug 11, 2008 19:00 - 21:00

「オトナの政治経済」第11、12回目

開催日時 2008年8月11日(Mon)19:00 - 21:00

募集は締め切りとなりました。

DETAIL
第11回(7月20日)&第12回(8月3日)の「オトナの政治経済」講義録について記します。
今回は参加者が偶然にも重複しなかったので、同じ内容を少しだけ新ニュースを加味して最新情報とともに皆様にお伝えしました。

それにしても・・

第11回(7月20日)は、17歳の少年が2人、18歳の青年も1人が来てとてもフレッシュだったし、ゆくゆくは中学・高校生を相手にした“社会の授業“を展開したいと考えた次第です。
17,8歳の彼らには内容が難しかったと思います。
でも、「分からないことがたくさんあることがよく分かった」と授業終了後に17歳の少年に言われたことを思い出し、今後の彼の知的探求に大いに期待したいところです。

ところで、20日は3連休の中日だったので人数が少ないだろうと思っていたら結局20人も参加していただきました。
皆の知的探究心に感謝と驚きです!

12回の8月3日は英語もそうだったけど、本当に参加人数が久しぶりに少なかったです。
新しい参加者で2名の面白い経歴をもった女性が参加くださいました。
合計11名という、3月以来の少人数で授業でしたが本当は人数がこのくらいの方がこじんまりと皆でいきわたっている感じでいいですね!

兎にも角にも、両回とも参加いただいた方に改めて感謝!

講義録は、両回で言ったことと言わなかったことがあるので、各項目ごとに日付を入れますので各自思い出して確認ください。

最後に講義録が遅れてしまったことお詫びいたします。

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【日本の教育政策】

・文部省の5年で2万5千人の教員を増員する計画

・幼児教育の無償化検討開始

ことの問題は3つあります。

①.教員をいくら増やしたところで文部省としてどういう人材を育てていきたいのかという“戦略”がなければ意味がないとおもいます。

デンマーク・ドイツ・スウェーデン・韓国などでは明確に“国際的リーダー”を育てる人材育成というものを国として掲げています。

とりわけ、早急に必要なのはよく言われていることですが英語の教育。
10年前と現在で英語力のレベルに差がほとんどないという事実を考えないといけないと思います。

②.「教員をクビにできない=公務員をクビにできない」という仕組みそのものが大問題

③.貧富の差による“生まれつきの教育格差”が子供時代から既に始まります。1,2歳から母胎で育てられている頃から“教育格差”が始まっており、それは明確に数値となって大学進学率・所得に“経済格差”として表れています。

◎実はこのニュースでvery50 Japanの目的が見て取ることができます。(下記設立目的)

・貧富の格差による教育格差をなくすこと(安価で誰でも参加できるマナビの場を提供)

・本当に社会で必要だと思える質の高い情報を提供する

・この社会の現状(問題)を本気で変えていきたいと思っている人たちを応援する

【韓国情勢】(イ・ミョンバク大統領についての現状は過去講義録をご覧ください。)

★韓国の経済成長率を4.3%に引き下げ(当初5.2%を予測)

・サブプライムの影響・原油高から米国経済が大減速→米国の購買力が落ちる→日本・韓国・台湾・中国という米国を最大のお客にしている国が大打撃 

⇒これにより、韓国のみならず経済成長は鈍化

⇒これまでパススルー経済の韓国は国内の中小企業の技術力が育っていない

⇒釜山はアジアの最大規模のハブ港

⇒中国生産のアイテムを釜山に運んで米国に輸出をしていたが、原油高などを考慮した時にいちいち釜山に運ぶメリットが薄れてきている。

⇒釜山ではなく中国の青島の土地価格高騰・釜山の代替港になりえるか?今後が見もの。

【台湾情勢】

★中国から台湾への直行便が解禁

・08年3月22日に国民党の馬英九総統が就任して以来、中国と政治的に急速に接近
(中国の東海岸沿いの多くの土地でマネージャークラスは台湾人が圧倒的に多く、台湾人の中国経済における存在感は非常に強い)

・中国は上海・香港・シンセンの3市場で中国人民は投資できたが今回、台湾市場を中国人が売買できるように仕組みを変更。また香港の上場企業が台湾でも上場できるようにルール変更。

⇒中国マネーの一部が台湾に流れることを意味していて、その規模としては小さいが中国国内で収まりきらなかったマネーが台湾に流れることによるインフレの緩和につながる可能性もあり。
これは、中国当局が北京五輪後の為替政策により変化が出てくると思います。

・台湾の独立はあるのか?
 選挙中は3つのNOを唱える(統一・独立・武力)

⇒今の台湾人の感性としては、中国とは統一・独立のいずれもせずに“現状維持”をすることによって台湾をカジ取りしようとする論調が大勢を占めている。

ただし、中国にしてみると台湾の独立を認めるとチベット・ウイグル・内モンゴルの民族独立運動につながりかねず決して譲れない事情はある。

・1日1000人限定でしかも週末の団体旅行のみで、中国人は台湾に上陸することができるようになった。これが初めの一歩で今後は各台湾・中国の各地域がさらなる開放をすると思います。
桃園や松山は空港にも近いので大変楽になる。ビジネス上では空路の確保ができたことにより人の移動の流れがかなり変わると思います。

・無制限になれば、ゆくゆくは2000万人近い数が台湾に行く可能性はあると思います。
日本に対し400万人規模で来ている中国人は言葉も通じる同郷のいる台湾には大変興味を持っており日本の観光業界は警戒を強めないといけないと考えます。

台湾の人口が2300万人ですから、同等の2000万人が観光で押し寄せるという状況は大きな影響を及ぼします。
イメージで極端にいえば、日本に毎年1億2千万人の観光客が来るということです。

3月~7月は韓国情勢を詳しくやりましたので、今後は台湾の情勢・状況を頻繁に皆さんにもお届けしていく予定です。


 <代表的な台湾企業>

◆鴻海精密工業(Foxconn) 台湾最大の民間企業のひとつ

◆台塑關係企業(台プラグループ。Taiwan Plastic Group)台湾最大の民間企業のひとつ

◆(華碩) 世界一[要出典]のマザーボード メーカー

◆エイサー(宏碁・Acer)

◆AOpen(エーオープン)マザーボード、ヴィデオカードメーカー

◆BenQ(明基・ベンキュー) 2001年、エイサーグループから独立した。

◆AU Optronics(友達・AUO) BenQグループの液晶パネルメーカー

◆エバーグリーン・グループ

◆長栄海運

◆エバー航空(長栄航空)

◆立栄航空

◆チャイナエアライン(中華航空)

◆Micro-Star International(微星・MSI)

◆トランセンド(Transcend)フラッシュメモリなど半導体メーカー

◆Trend Micro (趨勢科技) Anti-Virus Software company

◆MAXXIS Tire (正新橡膠)

◆CyberLink (zh:訊連科技) PowerDVDなどを開発するソフトメーカー

【欧州情勢】

★アイルランドがリスボン条約否決

とても、不思議なニュースであると同時に“地域統合”の難しさを如実に表したニュースです。
もともと、この国は430万人の小さな島国で農業国でした。ポルトガルに並ぶ貧困国でその不満が北アイルランドのIRA戦線を盛り上げる理由の一つにもなったわけですが、それが90年代に入りEUができて以来急速に米国企業のBPOの足場として経済的に高成長を記録。
米国からの資金流入が激しく95年~00年までは経済成長率が10%を超える今の中国さながらの状況でした。

元々、英語を話す国民なので米国にしてみるとなおの事やり易い民族であったことは幸運でした。
さて、とにかくEU→ユーロが出来て人・モノ・金の移動が自由になったわけです。
米国としては欧州の端から見下ろして、安い賃金でビジネスを進めていたわけですからアイルランドはずいぶんと恩恵を受けていました。

ところが、昨今の中欧への進出によりドンドンアイルランドから企業が移転し始めいて失業率・経済成長率とともに高くなってきています。
こういう背景の中でのリスボン条約への否決でした。しかも国民投票で決められたので民意をもろにだしてしまった形になったわけです。

EUにこれまで助けられて、そして今EUに反発したという形ですね。
今後のこの“パターン“の国というのは出てくる(ポルトガルなど)と思うし、地理をしっかりと眺めて分かることは多いです。
アジアの地域統合という動きが出た時に、どういう手順で進めるのが良いのか少しヒントになります。

【中近東情勢から見る米国政策】

(アフガン)
オバマがアフガンてろ掃討を最優先課題に挙げている。父親をタリバンに殺されている反タリバン派のカルザイを大統領に添えて安定を試みる。

イラクでは5月の米兵の死者数が19人と、2003年の戦争開始以来最低となりました。
これに対し、アフガンでは6月の死者数が最も多い28人にのぼり、今月13日には1度の交戦としては、過去3年間で最も多い9人が死亡。国連によると、5月までで700人近くのアフガン市民も殺害された状況で、「イラクよりもアフガン」という状況になっているのは間違いないようです。

しかも、パキスタンとの国境でのテロが多いというのが現状でパキスタンとアフガンの両国の対立は深まって行きます。

米国のアフガン侵攻後の政策は今のところ失敗といえそうです。

(パキスタン)
パキスタンは99年に当時の陸軍の参謀総長のムシャラフを米国も強力に後押しをしてクーデターによって米国派の大統領を誕生させる。

ところが、ブッシュと蜜月の関係のはずのパキスタンだが以下のような2点が問題にある。

1.オサマビンラディン(米国が最も捕まえたがっている男)はどうやらパキに滞在しているらしい。(8000億円の金をこれまで使い、オサマを捕まえようとしている。)

2.アフガンのテロの温床をback upしているのはパキという本当らしい事実。

従って、パキスタン情勢の米国の政策は失敗といえそうです。

(イラク)
フセイン後にマリキ首相を置いて親米派として中東政策を担おうとしていたわけだがここにきて、マリキがシーア派ということも重なり、イランと急激に接近してきているということ。(イランはシーア派)
マリキとしては、米国の早期撤退を示唆する態度を急激に見せ始めている。

オバマの掲げる16か月以内のイラク撤退ということが実際になされる可能性が大きくなってきている。
今後の米国選挙の行方により見えてくることになる。

イランは、OPEC中の世界第2位の石油産油国であり、天然資源世界第2位の産油国でもあり将来性ということを考えると非常に有効な市場だと思う(菅谷個人談)

今後、米国はイランを孤立させていく予定だったがイラクとも仲良く接近しつつあるイランに対しては、オバマの時点で政策転換をして急接近をはかろうとするのではないかと思われる。

これまたこれまでの米国政策の転換を余儀なくされる(=失敗)わけです。

結論→米国はイラン・イラク・アフガン・パキスタンと中近東政策に対してその外交戦略を失敗し続けているといえる。経済においてもサブプライムを発端に最低な状況。
ブッシュという史上最低と言われる大統領ですが、2000年の就任以来8年間世界中をかき回してきましたが最終的には“なんだったんだろう・・”というまとまらない結果になっているということです。

ブッシュとしては、今後はせめて“北朝鮮”では“私、まとめさせていただきました”と言いたいところだと思います。
その意味でも、ブッシュは北朝鮮政策に関しては本腰を入れているといえます。北朝鮮の3者協議が日本を入れて行われていますがこういう米国の背景を考慮しないと米国の動きの本質は見えてこないと思います。

(日本の航空業界と空覇権)

・LCC(low cost carrier)の台頭と地方空港の利用

  春秋航空・韓星航空・済州航空などのLCCが九州に直接便を運航。
→これにより、成田・関西・中部などの空港利用が激減の可能性もあり。

→国土交通省のANA&JALの擁護政策の見直しが早急に必要

→九州人が成田を使用する代わりに上海・ソウルを利用した海外旅行にでかけるという図式を考えると千歳空港利用の人々にも同様な現象を狙う会社が出てくるはず。
それは、ずばりウラジオストック航空などのロシアの戦略的な動きが出てくれば北海道の空もとられるということになります。

私たちが、外国の首脳であれば日本の空を狙うのは悪くないオプションだと言えそうです。

これには、日本国民自体がもっとこういう“海外航空会社勢力”を“はげたか”などとセンスのない呼び方をせずに応援するべきです。最終的には、JALとANAの独占的な支配による異常な“価格設定”が緩和されることになり、日本の移動がしやすくなります。

ここは、本当に僕ら全員が注目したいニュースといえそうです。

(その他)

・自動車業界の不振(勝者なき業界)
→米国会社も不振なのは当然だが日本勢もホンダ以外は不振に陥っている。

・GMの4-6月期の1.7兆円 の赤字は深刻的。
→シティバンクを初め、米国を代表する2大会社の崩れ方は世界経済にインパクトが大いにあると思います。

・福田内閣改造も海外メディアの評価は低く期待度薄い  

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