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事前授業・講座の一部を特別公開しています

Jan 18, 2009 19:30 - 21:00

記憶に残したい日本の社会活動家 第5回目 ~渋沢栄一~ 

開催日時 2009年1月18日(Sun)19:30 - 21:00
料金 社会人:1,300円 学生:700円
開催場所 駒込地域文化創造館
東京都豊島区駒込2-2-2

募集は締め切りとなりました。

DETAIL
講義録『「Merchant Spirits」の濫觴』渋沢栄一について~「起業」の意味を考える~

今回は近代日本の資本主義を作り上げたうちの第一人者の「渋沢栄一」について講義いただきました。
トピックとしては以下の通りです。

■「商業」の地位向上~石田梅岩~
 江戸時代、「士農工商」と一番「商業」の身分が低かった時代に、石田梅岩が「心学」を唱え、その活動に「社会的意義」があるとし地位向上に努めた。
 →「役」という社会構造の形成。

※商人の利益は、農民の年貢や武士の俸禄と同じように「社会に対して貢献している」という考え方を主張した。商人が全国に流通経路を作ることで、農作物などが世の中の人にいきわたるので、人は利便性を感じるとその論拠を示した。しかし、あくまでこれは「既存の封建的道徳観である儒教道徳」を超えるものではなかった。

※「役」→「個人対個人」ではなく「社会的役割」を基準とした関係性を構築すること。

■渋沢栄一の近代的合理思想
 1.近代的合理思想の芽生え 
渋沢栄一が16歳の頃に領主の御用金調達を任されたときの領主の「著しく公平さ、公正さ、平等さ」を欠いた態度に封建的権力の非合理性に疑問を持つ。
(その後、高崎城乗っ取りや横浜焼き討ちなどを計画する。※未遂に終わる)

 2.そこから生まれた近代的合理性
 知識と認識から生じる近代的合理性とは、「社会的意義を考え、そして行動すること」であるとした。当時は淫祠邪教がはびこっており、それは「自分が認識できる範囲を超えたところに恐怖を感じる」からだと考え、それが起こる原因は「実生活が停滞しているからである=困窮している」とし、それを脱却するために「働き=自分で行動すること」の必要性を説いた。(知行合一=陽明学の思想)

→商業活動に対する「社会」からの要請であるという考え方をした。
※「道徳としての実業」から「思想としての実業」へ

→上記が「起業の目的」である。
起業とは「自己実現」ではなく「社会の実現」という視点で行うべきだと渋沢栄一は考えていた。それは当時日本という国が世界的に見て開国を迫られており、「国力を強化する必要」があったという状況を鑑みる必要がある。

■ 渋沢栄一の功績
1.明治期に王子製紙、東京ガス、東京電鉄などの設立
現在でも残る会社を設立したが、その際に渋沢栄一は旧士族からお金を調達している。(本人は資金を持っていなかった)
その際には「出資することが国家のためである」という内容で出資を要請したとのこと。旧士族も「為政者意識」があり、且資金も持っていたため見返りを求めなかった。
→「投資」することの本質的な意味は「役」の思想の役割を果たすことである(これが「資本」の持つ意味)

2.一橋大学の設立
文科系総合大学で有名な一橋大学は渋沢栄一が主体となって設立した。
そこで特徴的なのは、現在では「商学部」が有名だが、設立当時は「社会学部」が看板学部であった。
それは「教養の方が簿記などの実学よりも重要である」という考え方に起因している。

■現代における「起業」への警鐘
 「自己実現」、「自分探し」に終始し、「社会性」という認識はあるのか?
 また、既存の起業形態で本当によいという意識はあるのか?
 資本をもつスポンサーが何かにつけて口をだすのはいいことなのか?

■所感
「企業」の役割は「社会性」を重視することだという言葉に、改めて自分達のやっていること、そして今後の自分個人の生き方について考えさせられました。
「社会に役に立つということ」と「持続可能である」ということをどう両立させていくのか。今後の自分の課題としていきたいと感じました。
 

ENTRY

募集は締め切りとなりました。