OPEN CLASS
公開講座
プロジェクトで実施される精鋭講師陣による
事前授業・講座の一部を特別公開しています

Apr 19, 2009 19:15 - 20:45

「世界の食糧問題解決を目指す”緑の集団”」(出雲 充~株式会社・ユーグレナ社長~)

開催日時 2009年4月19日(Sun)19:15 - 20:45
料金 非会員:800円 会員:600円 ※学生、NPO専従職員の方は500円
開催場所 旧日の出小学校

募集は締め切りとなりました。

DETAIL
今月の創造学部では、バイオベンチャー企業・株式会社ユーグレナの代表取締役・出雲充氏に「アントレプレナー」についての講演をしていただきました。

「起業家のリスクと魅力」をファクト・ベースで認識することなく、起業を支援するような傾向の危険性を指摘しつつ、社会起業であれNGOの創設であれアントレプレナーを目指す若者への出雲氏のメッセージは以下の内容となります。

■出雲氏を支える根底
出雲氏の起業体験は、学生時代のバングラデシュでの原体験を背景として動きだしました。近年でこそグラミン銀行のムハマド・ユヌス氏のノーベル平和賞受賞や株式会社マザーハウスの山口絵里子さんによって、日本でも非常に注目されるバングラデシュではありますが、出雲氏が学生時代のバングラデシュは、日本人観光客が年間100人程度しか訪れない旅行先でした。「人と違う場所に行きたい」そんな思いだけで始まったこの旅程で出雲氏が目にした光景は、輸送路インフラの整備が行き届いていない地域環境、栄養学についての知識不足などの環境下で、ビタミンA(ベータカロテン)と必須アミノ酸のひとつ(リジン)が不足を主要因として、多くの子供たちが障害・死亡の危機に瀕しているという状況でした。これが、出雲氏が世界の食糧問題に関心を寄せる大きな要因のひとつとなりました。

■ユーグレナ
出雲氏の会社の社名でもある微生物「ユーグレナ」は、動物の能力と植物の能力を兼ね備えた「魔法の微生物」。学生時代に「ユーグレナ」の持つ可能性を運命的に認識しながら、事業化するには培養技術の進歩を待たなければならなかった。2005年に世界初のユーグレナの大量培養に成功し、現在現在ユーグレナではユーグレナの特性を活かす①栄養素としての価値②美容・健康面での価値③二酸化炭素削減での価値④宇宙利用での価値、の4部門で活動している。
これらの分野は、出雲氏の原体験でもある食糧問題にとどまらず、環境問題・宇宙開発などの世界の課題解決への歩を進める取組みと呼べます。


■大企業偏重の社会(数字から見えてくるもの)
日本には、約600万社の企業が存在しますが、うち従業員数10名未満の会社が実に82%を占め、1000名以上のいわゆる大企業は0.035%程度に過ぎません。その一方でマスコミの情報に占める企業情報の92%以上は大企業関連のニュースであり、私たちのマインドはこういった偏重によって支配されています。例えば多くの就職活動生はいわゆる大企業を目指す傾向にありますが、それが数字の上でどういった意味合いがあるのか、考える視点が必要なのかもしれません。

■No.1になることの意味
ビジネス界だけに留まらず、コンペティションの世界では共通してNo.1になることが全てを得るものであり、アントレプレナーを目指すのならNo.1を目指さなければならない、と出雲氏は語ります。ここでNo.1とは①1位であること②競争環境下で26%以上のシェアを占有すること③2位と比べて10:6以上の差が開いていること、の三つの条件を満たした状態を意味します。

■どうすればNo.1になれるか?
人間が成し遂げる成果はある等式によって説明ができます。
y=a・xの2条+b
右辺の定数 をそれぞれ a=才能・センス, b=過去の遺産・蓄積とすると、左辺の値・成果(y)を大きく作用するのは、時間(x)の数値である、と言えます。定数は生まれ持ったものであり変化させることはできませんが、ビジネスを成功させるために時間を費やすことで、そういった要因は覆すことができます。時間(x)は自乗数となって成果(y)に影響を与えるため、例えば1.4倍の時間を費やすことで2倍の成果が、1.7倍の時間を費やすことで3倍の成果を得ることが可能となります。

■2%に入ること
バブソン大学(米)の統計によると、設立(起業)を始めてからベンチャー・キャピタルが通常の投資期間として考える3-5年間に生き残るベンチャー企業の確率は、わずか2%に過ぎません。よって起業を志すということは、わずか2%の成功者の中に入る自信を持てるか、ということにもなります。

■3人よれば文殊の知恵
それでも起業を志すならば、自分のビジネスモデルに賛同し、人生を懸けても良いと言う人間を3人見つけることが、成功へのステップであると出雲氏は語ります。会社法の改正により、現在では取締役1名のみによっても起業が可能となりましたが、3名の取締役という数は旧・会社法が規定していた数字でもあります。

一見温和で物静かな印象の出雲氏ですが、プレゼンテーションが始まった瞬間から、論理的思考とユーモアを兼ね備えた出雲氏の話術に会場は熱気に包まれ、あっという間の90分間が終了しました。
「次に会うときは、同じアントレプレナーという立場で会おう」そんな出雲氏のメッセージを受け、参加者の中から新たな挑戦の“芽”が生れたことに期待します。
(文責・竹田英司)

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募集は締め切りとなりました。