ベトナムの首都ハノイの喧騒から離れ約250km。標高1,600mの山間部にある高原リゾートとして有名で世界中から観光客が訪れる大自然と少数民族が共存する魅力的な街、サパ（Sa Pa）が今回MoGプロジェクトの舞台です。

観光開発に取り残される、少数民族たち

サパは、ベトナムがフランス植民地だった1880年ごろに統治者であるフランス人達の避暑地として作られた街です。大自然の中でヨーロッパ式建築が立ち並ぶ美しい街サパは、5年ほど前から観光地として世界中から注目されています。街中で、大きなショベルカーなどが並ぶ建設現場に遭遇し、観光地としての発展を嫌でも感じ取ることが出来ます。しかし、このような開発はほとんどが外部からの投資によって成り立っています。元々サパに住む少数民族には、恩恵が届かないのが現実です。ベトナム政府の支援も少なく、少数民族の方々は現地の教育の質は全然上がらない、我々の暮らしは全然良くならないと口を揃えます。街の急発展と発展に取り残される少数民族という構図が、昨今非常に速いスピードで展開しているのが、サパなのです。

世界的経済誌フォーブスにも選ばれた注目若手チェンジメーカー

スピーディーな経済発展を遂げるサパで注目されているチェンジメーカーがいます。サパ出身の女性社会起業家のシュ・タンさんです。シュさんは、サパの中心地から車で1時間ほどのところにある山奥の村に生まれ育ちました。幼少期は、学校にも通えずに、サパの中心地に出向き、見よう見まねで英語を習得しました。中心地では、サパに住んでいる少数民族のハンドメイドに見える商品を販売していました。ただ実際には、中国産の安い商品が流入し、現地の人が得られる利潤はごくわずかである事に憤りを覚えていました。そのため、幼い頃から起業家として、地元にしっかりと恩恵が落ちる仕組みを作ることを決意します。現在は、Sapa O'Chauの創業者/CEOとして活躍中。サパの観光地としての発展に少数民族を巻き込む活動が評価され、16年には、世界的経済誌フォーブスが選ぶ「ベトナムを変える、30人の30歳以下のリーダー（30 under 30）」に選出されるなど多数の受賞歴を持つ世界が注目する女性社会起業家です。

Sapa O'Chau のユニークな取り組み

Sapa O'Chauは、エスニックマイノリティである、サパの少数民族を巻き込む形で観光業を展開している社会企業です。事業は大きく3つあり、サパでのトレッキングツアー、ホテル、レストランの運営をしています。現在、ビジネスで得た利潤を活用し、60名以上の少数民族の若者が良い教育を受けるための全寮制学校を運営しています。今後、受け入れることが出来る生徒数の拡大とともに、卒業した生徒たちが家族とともに個人事業主としてホームステイロッジの経営を自立して実施出来るような、サポート体制を作ることが現在のゴールです。

今回のMoGのミッション

今回、高校生の皆さんには、Sapa O'Chauが新規ビジネスとして立ち上げた“ホ―ムステイ事業”に携わってもらいます。今回は、いかにして、多くのお客さんに利用してもらえるか集客改善がテーマです。問題提起→施策立案→実行までのサイクルを繰り返し、マーケティングや顧客開拓に挑戦にしてもらいます！シュさんがどんな想いでビジネスを立ち上げ、今に至るのかをしっかり理解し、1人でも多くの若者に教育機会が渡るようにチーム一丸となって、問題解決に挑みましょう！