社会主義で人口700万人の小さな山の国ラオス。他の東南アジア諸国と比べても発展も一歩後ろにいます。タイ・国境の町ノンカーイからメコン川を渡ると見えててくるのが首都ビエンチャン。アジアで一番規模が小さいと言われるこの静かな首都が本プロジェクトの舞台です。

家族と共に時間を過ごすために起業

このラオスには一風変わった女性起業家がいます。名前はNongnut。彼女はタイに生まれ、オランダで育ちました。非常にハードワークな彼女は、研究者としてキャリアを始め、その後タイで環境コンサルタントとして仕事をしていました。

彼女はオランダ人の夫をもっており、彼の仕事の都合上ラオスに住んでいます。そのため毎週ラオスから仕事場のタイまで飛行機で通っており、自分の子供・夫と過ごす時間がとれていないことを悩んでいました。できるだけ自分の家族と時間を共にしたい。そんな思いから生まれた会社がXaoban。彼女は家族と過ごす為に、自ら起業する道を選んだのです。

全ての生産過程は商品の品質のために

彼女の企業、Xaobanでは驚くべきほど高品質なヨーグルトが生産されています。それは、仕入れから配送、生産、出荷、販売まで全ての過程で質の最大限に高める工夫が張り巡らせた結果です。例えば、原料は生産工場から近い農家から仕入れ、商品の卸先は自らが配送を担当できるサプライヤーのみに限定しています。そうすることで輸送中の揺れによる品質の低下を防いでいます。

さらに、生産に携わる従業員も明るく仕事ができるように、日々のルーチンにも様々な工夫をこらしています。こうしてできたヨーグルトは日本人の私達もかつて食べたことの無いほど、高品質です。

障害者の強みを活かし最高の商品を

彼女の企業Xaobanは聴覚障害者を積極的に雇用しています。しかし彼女は社会企業家ではありません。彼女が聴覚障害者を雇用する理由は、障害者たちは、彼らの強みを活かす事ができれば健常者以上の成果を出すことができると考えているからです。

Nongnutは人を見る力に長けています。結果、障害者にとっても、能力を発揮しながら働ける職場環境ができあがり、Xaobanには今も20人以上の就職希望者が殺到している状態です。

顧客に対する哲学

Nongnutは考えることを愛しており、顧客に対しても哲学があります。Xaobanの商品は違いの分かる人々に届けたいとのこと。違いの分かる人とは彼女の言葉を借りれば「Modern People」(以下MP)と表現されます。彼女曰く、MPは周囲の人間に対する共感が非常に強く、人の為に行動できる人々です。

しかし誰もがMPになれるわけではなく、MPになるには良い食事、良い住居、良い家族に囲まれ、豊かな生活を送る必要があります。逆に言えばMPは良い食事、人々の元に集まるということです。Xaobanは最高のヨーグルトを提供する事で、彼らが集まるプラットフォームを目指しています。

新たな顧客層の開拓

Xaobanの現在のメインカスタマーは企業やNGOの駐在員で、彼らの中では１００%の認知を誇る圧倒的なブランドです。しかし、今後ラオスでは駐在員の数が減少していくことがみこまれており、Xaobanは新たな顧客層を開拓する必要性に迫られています。前回3月のラオスMOGでは新たな顧客としてツーリストに可能性があることが判明しました。

今回のミッションは如何に、このXaobanに込められた想いやミッションを体現しながらもツーリスト達を取り込むかという本格的なマーケティング・製品提案を実行することです。