MoGに参加した高校生や先生のリアルな声・現地で活動中の
MoGの様子・very50の活動などをお届けします。

Yさん

–なぜMoGに参加しましたか?

MoGに参加したのはちょうど会社を退社した転職の合間のタイミングで、途上国を訪れたいと思っていた時に、デザイナー繋がりの友人から、オススメのプロジェクトがあるとMoGを紹介してもらったのがきっかけです。

途上国の現場でデザイナーはどういう役割を担うことができるのかを知りたいと思い、ただのスタディーツアーではなく、問題解決型プロジェクトであるMoGに参加を決めました。

–現地での活動はどのようでしたか?

ベトナムのハノイからバスに揺られて3時間半のところにある、マイチャウというところに2週間滞在し、みんなで蚊帳の中で寝て、現地の生活を送りました。

少数民族や障害を持つ方々によって作られる民族工芸品の売り上げをあげていく仕組みをつくるために、デザイン、ロゴマーク、プロモーションツールの作成までデザイナーとしてブランディングに広く関わりました。

しかし、正直ブランディングなんて言葉が使えないくらい基礎の基礎からの作業でした。その場所だからこそ抱える問題がたくさんあり、日本で働いていたときとは違う方法を探りながら進めるのはやりがいがありました。

満天の星空の下でロゴを考えたり、のどかな田園風景の中でアイディア出しをしたりすることは、日本のデザイン事務所で働いていたときではあり得ないことで、とても新鮮でした。

–MoGで学んだこと、得たことは何ですか?

現地の人たちと生活を共にし、一緒に問題解決に取り組むことで、美大に通っていたりデザイナーとして働いているだけでは経験できないこと、出会えない人たちと出会うことができました。

日本で毎日当たり前のように仕事で行っていたことが、現地の人たちにとってはすごく必要な力で、こんなにも人を惹き付け、大きな力になれることだったのだと気づきました。と同時に、現地に入ってみないとわからない新しい自分の仕事の在り方について考えるきっかけになりました。

商品のデザインを考え、それを現地従業員につくってもらったとき、指示を勝手に変えて作り、笑って「間違えちゃったの」と言われたときは、そんなこと日本ではありえないことで、本当に悔しかったです。だけどデザインの重要性の認識、ものづくりに対する姿勢が自分の常識とは全く違うことにそのとき初めて気づきました。

そのことに気づいてからは、一緒にプロジェクトを行う現地の人との人間関係が、いかに大切かを学びました。仕事を行う上で人とよい関係を築くこと、自分の考えを伝える前に相手の考えを知ること、ブランドや商品を見る前にそれを作る人たちと向き合う。

違う環境に身を置くことで、仕事では毎日の忙しさで当たり前だと感じてしまうことも、いかに大切にしていかなければいけないことなのか再認識しました。

さらに、歳が離れているからこそ、学生のチームメンバーたちを客観的に見ることができ、環境によって動きを変えていける柔軟さ、親身になって人の話を聞く忍耐強さ、影で人を支える優しさを見て、学生メンバーの彼らから学ぶこともたくさんありました。

–MoGの参加を検討しているデザイナー・社会人にメッセージ

日本で社会人として働いていると、なかなか長い休みが取れずに、こういったプロジェクトに参加すること自体、難しいと思います。

でも社会人として休みもなく毎日必死に働いている人こそ、MoGに参加して欲しいと感じます。

普段の仕事を客観的にみつめ、広い世界から多くのことを学ぶことは、日本での仕事にも必ず活きると思います。

学生と社会人の差を最初は気にしていましたが、自分のやるべきことを必死にやる環境だったので、「学生」だから「社会人」だから、ということは何もなく、「発展途上国で自分の得意なスキルを生かし、問題解決にあたる」という感覚でした。

また、既にデザイナーとして働いている社会人だけでなく、デザインを学ぶ学生にもぜひ参加してほしいと感じました。
途上国でもデザインの力が大きく必要とされていること、実際に役に立てること、デザインは先進国だけのものではないことを実感できるすばらしいチャンスだと思います。途上国という場所で、やれることはもちろんたくさんありました。でもそれ以上に発見し、そこから学ぶことがたくさんありました。

MoGに参加したことで、今後のキャリアを形成していく上で自分の視野を広げ、また新しい視点で自分の仕事に取り組むことができる様になったと強く感じています