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超名門校はやっている⁉︎課外活動のアクティブラーニング化が教育を変える!

 

超名門校が行う、課外活動のアクティブラーニング化

つい先日から、NewsPicksなどでちょっとバズっている日経新聞の「高校生社長までいる東大に一番近い進学校」http://style.nikkei.com/article/DGXMZO09413040Q6A111C1000000

部活動のアクティブラーニング化という視点からこの記事を読んだら、日本の部活動が世界的にはかなり特殊だということが判明!

名門校には、部活がたくさんある..!?

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筑波大学附属駒場中・高等学校

記事によると”1人の生徒が文化祭準備にかける時間は、200-300hはくだらない”とのこと。これを計算してみると、週4日,1回3時間の活動の半年分に該当します。もはや、普通に部活という感じですが、日本で一番優秀な学校の生徒がそれだけ時間をかけて出来るものが素晴らしいことは、Googleで少し調べただけでも良くわかりました。

 

 

 

“筑駒が文化祭で公開した音ゲーをやってみた”http://otakei.otakuma.net/archives/2015120901.html

その他にも、異常なほど多様な課外活動が用意されていることがよくわかります。試しに、筑駒と同様に優秀校として知られる開成高校のホームページを見てみると、実に79個もの部活,研究会,同好会が活動していました。

“超”がつく名門校は、勉強だけでなく非常に多様な課外活動の中で、生徒たちが躍動しているようです。

ならば、一般的な学校の部活動も同様の役割を果たしているかと言うと、必ずしもそうとは言えない現状、そして日本の特殊な部活事情が見えてきます。

日本特有の”補欠”が多い部活事情

 

日本の中高生をめぐる課外活動を国際的に比較すると、日本の部活がかなり特殊だということがわかります。

各国中学・高校段階のスポーツの場に関する類型
各国中学・高校段階のスポーツの場に関する類型

まず、運営主体についてです。日本は殆どの生徒が課外活動=部活とする「学校中心型」ですが、アメリカを始め、欧米,欧州は全てが、地域のクラブでも課外活動を過ごす「学校・地域両方型」もしくは「地域中心型」です。部活動における、教員のサービス残業は常に問題視されますが、これは学校中心で運営する日本が抱える特殊な問題のようです。

各国の中学・高校段階における学校対抗スポーツの状況
各国の中学・高校における学校スポーツの状況

次に、主体性についてです。文科省の発表によると生徒の運動部への所属率は、中学で74%,高校で49%にも登ります。これは他国よりも圧倒的に高い数字になります。課外活動を主体的に選んでいるというより、「部活に入らなければならない」という同調圧力が働いているからこその数字ではないでしょうか。

最後に、公式戦への参加率を見てみると、中学・高校の平均値は他国をぐっと下回り、21%となります。前述の所属率と、公式戦参加率の差が補欠率となります。所属率のデータは少し古いものの、日本の部活では、多くの生徒が”補欠”として活動をしていることがわかります。つまり日本の部活動では①与えられたメニューをこなすだけの受動的で②主体的な選択性は薄く、③アウトプットする場が無い人がほとんど、という事になります。

これに関しては、サッカー解説者のセルジオ越後さんも同じような文脈で語っておられました。参考までにどうぞ。

「日本独特の”補欠”が子どもをダメにする。(日経DUAL)」http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=5051#guidance

筑駒の自由闊達な課外活動と比べると、やはり仕組みとしてはもっと改善されるべきもののように思えます。

 

部活をより良いアクティブラーニングの場とするには

「教員の多忙化で報告書 来年度に部活動ガイドライン(教育新聞)https://www.kyobun.co.jp/news/20160613_02/

特殊な日本の部活

教員の多忙化が主な原因で、17年度に向けて部活のあり方が抜本的に見直されようとしています。最後に、部活をより良いアクティブラーニングの場とするためには、どのような試みが考えられるかを検討してみたいと思います。

 

 

①部活動に対する、明確な指標の確立

人材育成業界で有名な「原田メソッド」の原田教育研究所が、部活をよりよいアクティブラーニングの場とするためのサービス「BUKATSU(http://harada-educate.jp/bukatsu)」をリリースしています。部活動に対して明確な教育目標と、それに対する評価基準を導入するものです。

「議論する力」「やり抜く自信」など、様々な項目の何を伸ばすために部活があるのかを明確にすることで、部活を「競技」の理論から解き放ち「教育」の理論に落とし込むことを狙う事が出来るように思います。

②教員,外部ファシリテーターが生徒主体の運営をサポートする

参加した学生たちに「火」をつけて起業,社会貢献,夢実現に促すようなプログラムは大学生にはよく見かけます。このようなプログラム運営のノウハウを持った(学んだ)人が、生徒たちに定期的にワークショップを開催するなどして、生徒主導の運営を手助けたら良いように思います。リアル「もしドラ」とまでは難しいでしょうが、自分でメニューを決めて、自分達で部活を盛り上げていくという経験を通じて、生徒の大きな成長を望めるのではないでしょうか。

③部活コン

「100人とか所属してる部活なんてダメだ、高校生までは絶対に自分が試合に出なきゃいけない。」これは、Jリーグの元経営者で、現在も大学体育会顧問としてスポーツに関わっているある方に伺ったとても印象に残っている言葉です。サッカー,野球,バスケなどの人気スポーツで試合に出れないなら、もっと自分が興味を持ちそうな部活に入ればいい。でも、実際には多くの学校で部活,同好会などの多様性は非常に乏しい。ならば、総合の時間のプログラムなどで「部活コン」を実施して、ビジコンの用に皆に支持される部活を作っていけば良いのではないでしょうか。部活の多様性が増えれば、運動部に偏重することなく、または兼部という形でも、自分が「試合」に出る生徒が増えてくるはずです。

アクティブラーニングの必要性が高ければ高いほど、授業内だけでなく「部活」を有効利用する視点は重要になってくるでしょう。授業の充実に加え、課外活動の充実は教育界のもう一つの課題と言えそうです。

 

アイキャッチ画像引用:http://style.nikkei.com/article/DGXMZO09413040Q6A111C1000000